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REVIEW

蟹奉行 / 『1st Single Vanishing / imitation』

UPDATE : 2016/07/30

蟹奉行
『1st Single Vanishing / imitation』

1.Vanishing
2.imitation
3.G.O.T.S
2016/6/17
価格:¥1,000
※会場限定

2012年のバンド結成から幾度のメンバーチェンジを経てリリースする蟹奉行キャリアにおける珠玉の1st Singleが到着した。エモ、シューゲイザー、UKロック等から影響を受け、 轟音ギターサウンドとキャッチーなメロディを軸としながら、オルタナティブでシニカルな雰囲気の漂う楽曲は一聴の価値が有る。

まず、音に触れる前にバンド名である。『蟹奉行』。筆者とこのバンドの出会いはもう3年以上も前になるかもしれない。このバンドに興味を覚えたのは、他ならないこの特異なバンド名だ。音源ストリーミングサイトで何の気に無しに(大きな期待は持たずに)『cold sentence』という楽曲を再生した時の衝撃は忘れられない。音像の鋭さ、ワンコーラスを聴けば脳髄に強制記憶されるキャッチーなリフレインメロディ。楽曲を聴いて、すぐその得体の知れないバンドに連絡をしたことを記憶している。

そして今回到着した1st Singleである。M-1『Vanishing』はまさに前述した音像の鋭さ、キャッチーなリフレインメロディという蟹奉行の最大の武器を余す事無く凝縮した名曲。語弊を恐れずに言えばストレイテナーの『ROCKSTEADY』をアップロードしたような楽曲。楽曲に漂うオルタナティブでシニカルな感触。哀愁と表現すべきような歌謡性は無いのに、何故か胸を締めつけられるようなメロディ。拳を突き上げながら、何故か涙してしまいそうなサビのカタルシス。

M-2『imitation』はミドルテンポでお洒落なコード感ながら、シティポップにはなりきれないオルタナシューゲポップ。カラッとしたギターカッティングに四つ打ちビート。いかにも現代っぽいアレンジを詰め込みながらも良い意味で現代っぽくない。クールでありながらサビでの昂揚感はまさに蟹奉行ならではだ。
M-3『G.O.T.S』は疾走感がありながら、5分を超える蟹奉行の中では長尺の楽曲。この作品を締めるにあたってのボリューム感を持ちつつも、だれるところの無い楽曲アレンジは精密だ。各楽器のフレーズの押し引き、コーラスワークの流麗さは秀逸。

彼らの持つ音楽性の最大公約数であり、成熟した邦楽ロックとしてのオルタナティブの到達点。原石として光り輝いていたメロディセンスが屈強なサウンドクリエイトによって花開いた作品。8/21下北沢ReG開催の『NEWScript Fest 2016 -DAY2-』にもO.Aとして出演する彼らだが、より多くのリスナーに存在を知って欲しいバンドの筆頭だ。

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