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REVIEW

噓とカメレオン /『モームはアトリエにて』

UPDATE : 2016/03/17

噓とカメレオン
『モームはアトリエにて』

1.モームはアトリエにて
2.Lila

2016/3/16
価格:Free
※配信限定

噓とカメレオンの新しい音源が到着した。
このバンドの才能が開花したターニングポイントとして論を待たずに挙がるのが3rd singleである『盤下の詩人』だとするならば、この音源はその才能が花開き、噓とカメレオンという方法論として確立したターニングポイントと言えるだろう。
『モームはアトリエにて』と銘打たれたこの楽曲は、どこを切り取っても噓とカメレオンらしさに満ちあふれている。ソリッドなサウンドメイキングとタイトなリズムセクション、嫌が応にも耳に残る不穏ながら中毒性の高い、それでいてお洒落なリフレイン、ラウドにも通じる重厚感と、ダンスロックにも通じる昂揚感。これだけ並べてしまうと「噓とカメレオンだけ聴いていれば、その他の音楽を聴く必要がないんじゃないか?」と勘違いしてしまいそうだが、それをあくまでポップミュージックとして成立させているのはそのメロディだ。スノビッシュな押しつけや、センスの押しつけだけで終わらない、あくまで「みんなのうた」。「みんなのうた」という書き方をすると牧歌的なイメージをしてしまうが、攻撃性と遊び心に彩られた彼女らのメロディは、まさしく現代の最先端のセンスが詰まった現代っ子の「みんなのうた」だ。3分間というポップミュージックの雛形の中で、好きなモノを好きな距離感で配置していくような、絶妙なバランス感。それが噓とカメレオン独自の方法論だ。

『Lila』は一転6分間を超える超大作。と思いきや、その聴後感は楽曲のボリュームに反比例するようにワタアメのように軽く、甘い。これは彼女たちが そんなつもりで創ったかどうかは置いておいて『噓とカメレオン流のバラード』 だ。バラードにつきまとうある種の「構えないと聴けない」重さからきっぱり手を離しつつ、メロディの甘さとほろ苦さが胸に突き刺さる。ヘッドフォンに耳を当てた瞬間から一呼吸する間に6分間が過ぎてしまうような不思議な感覚。 その一呼吸の間で一つの物語を完結させたような、でも感触としてはライト。長編の夢を観たけど目覚めた瞬間に忘れてしまうような、不思議な感覚。一定のループ感がありながらも、コードの変遷や差し込まれるフレーズの変化で飽きさせない、という説明が野暮ったく感じる程、繊細な楽曲。

やはりこのバンド、底がまだ見えない。

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